「宣明暦法による日食予報の的中率について」では神田茂編「日本天文史料」1)に載る日食記録を使用して時代による予報の方法を推測した。ここでは予報の方法を一定とした時の宣明暦自体が持つ予報的中能力を検討した。
的中率は以下の方法で計算した。
起きた日食
的中率=---------------------
予報された日食
起きた日食(分子):Emapwin2)で計算される日食のうち京都で見られる一分(皆既十五分)以上の日食。
予報された日食(分母):宣明暦で計算される日食から、陽暦の日食及び陰暦の夜食を除き、食分が一分以上の日食。
以下が過去5回、20回、40回それぞれでの日食予報の的中率をグラフにしたものである。
これによると短期的には予報の的中率は4割から10割を行き来するが、長期的には6割から8割の的中率で推移している。
また時代と伴に悪化している傾向は見られない。
なおこの検討は宣明暦法3)の日食計算方法による。 実際の日食予想時に的中率向上の為行われたと思われる時間のシフト
については考慮していない。
宣明暦法による全ての日食計算結果(西暦862年から1685年迄,2.4Mbyte)
参考文献:
1) 神田茂編「日本天文史料(上)」(復刻版、1978),原書房
2) 筆者作 日食ソフトEmapwin(http://www.kotenmon.com/cal/emapwin_jpn.htm)
3) 安藤有益著「再考長慶宣明暦算法」(国会図書館蔵)
(2008年2月16日記載/同日HPにUP。
)